レモンケーキの糖衣の話

2023年1月11日

レモンケーキは通年で販売していることも多いお菓子ですが、当店では冬から春先にかけての季節菓子としてご用意しています。

当店のレモンケーキには、庭のレモンを果皮も果汁も使用して砂糖煮にし、たっぷり加えて作っています。

生地には北海道産の小麦粉とてんさい糖、スペイン産のアーモンド粉と、カルピス発酵バターと卵と練乳を使用して、もっちり香ばしく焼き上げます。

一方、糖衣はレモンと粉糖のみで薄くシンプルに。シャリシャリ甘酸っぱく仕立てています。(冷蔵庫に入れると日持ちが延びますが、糖衣は温度変化により白っぽくなり、ひび割れが生じる場合があります。)

生地にも糖衣にもたっぷりのレモンを使用したこのケーキは、おかげさまで冬の人気菓子となりました。

さて、ポピュラーなレモンケーキ表面のコーティングは、大きく分けて2種類。ホワイトチョコレートを使用する場合と、アイシング(砂糖衣)を使用する場合があるようです。今回は、この糖衣についてお話しします。

ホワイトチョコの場合、レモンケーキと組み合わせるとミルキーな優しい味わいになりますし、クリーム色がかったマットな白色はケーキの茶色に映えて見た目にも可愛く、溶けて染み込んでしまう心配もなく、日持ちも良いです。(要冷蔵となりますが、通年で販売することもできます。)

アイシングの場合、昔のレシピで「砂糖衣」と記述されていたその名のとおり、粉糖とレモン果汁(または卵白や洋酒などの水分)をよく練り合わせて程よい固さに調整して、焼き上がったケーキやクッキーをコーティングします。(最近は、アメリカ風に「フロスティング」と呼ばれることも多いようですが、基本的には同じ仲間のようです。>私的には、フロスティングにはクリームチーズなども入っていることが多い印象ですが…その辺りを考え出すと長くなるので今回は割愛。)

アイシングの使い方は幅広いですが、今回は他方面については省略。コーティング用としては、大まかに2通りの手法があります。

ひとつは、空気を加えてふわふわに練り、そのままかけて自然乾燥させ、真っ白のきれいな衣にする方法。この手法による白いアイシングは、上にピスタチオなどのトッピングを乗せると色が映えてより可愛らしく仕上がりますし、たっぷりの砂糖で包むため昔のウェディングケーキのように常温で日持ちさせたいお菓子のデコレーションによく使われている印象です。

もうひとつは、当店のようにレモン果汁などの水分多め(ただし染み込んでしまわないよう粘度は要調整)のアイシングを全体にかけて高温のオーブンでサッと火を通し、磨り硝子のように半透明に仕上げる方法。こちらの手法は、ウィークエンドやレモンクッキーなど、薄い砂糖衣の食感の儚さや透明感を重視したお菓子に使われることが多いように思います。


ホワイトチョコがけのレモンケーキも大好きですし、真白のアイシングも可愛らしいので、試作段階では当店のレモンケーキもどういう衣にしようか迷いました。けれど、火を通した糖衣の「まるでレモンそのもの」のように艶やかな質感と、「砂糖衣の食感は儚く、レモンの香りは強くしたい」という店主の好みもあり、当店のレモンケーキの糖衣はレモン果汁をたっぷり加えた磨り硝子仕立てのレモンアイシングとなりました。
(なお、去年は砂糖衣にレモン果皮をすり下ろして加えていましたが、今年はよりきれいな表面にするべく糖衣はレモン果汁のみとし、その分の果皮はピールと一緒に生地の方に混ぜ込む配合に変更しました。見た目はよりツヤっと綺麗に。口の中でのレモン感は昨年同様に保てているのでは。と思っています。)


製菓店は元より、スーパーやコンビニでも、冬は夏と並んでレモンのお菓子が店先にたくさん並ぶ時期です。(ミカンを始め、冬は柑橘類の美味しい季節です…!)

採れたてのレモンを使用した旬のレモンケーキを食べ比べられるのも、この時期ならではのお楽しみ。と思います。


蛇足となりますが、最後に少し宣伝を。
喫茶室では、今年のレモンケーキは3月末まで販売予定です(ピールも多めに仕込みましたが、売れ行きにより終了が早まる場合があります)。

通販では、1月便でお届けします。2月便はチョコレート菓子メインで考えていますが、需要と材料があれば、レモンケーキ入りバリエーションもご用意したいと思っています。(※道草通販1月便は、1月15日~22日にカートオープン予定です。)

もしお好みに合いましたら、この冬の道草のレモンケーキもご一緒に、お楽しみいただけましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

  

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