子どもの頃から、スパイスが好きです。
大好きな叔父と叔母がいつもお土産に持って来てくれた
揖斐の神原屋さんの肉桂餅は、物心つく前から私の
身近にあったお菓子で、スパイス好きの根っこになっています。
(何十年も経った今も昔と変わらぬ味で、大好きです。)
小学生の頃、町のケーキ屋さんのアップルパイを食べて
最初にシナモンの存在を知った時には、
「ケーキなのに、ニッキ餅みたいな味がする…!」と
子ども心に嬉しい衝撃を受けたものでした。
厳密に区分けすると、肉桂は木の根っこの皮から作られ、
シナモンは木の幹の皮から作られるスパイスなので、
辛味や甘味や風味には意外と大きな差があるのですが、
それでも同じクスノキ科の木から採れる近しい仲間。
両者の甘い香りとピリッとした辛味、スッと爽やかな風味は、
私にとって文字どおり「香辛料」の印象そのものでした。
様々なスパイスが手に入りやすくなった現在も、
ニッキ(肉桂)とシナモンが、いちばん好きです。
(ニッキは食べる専門なので、使うにはシナモンに軍配が上がります。)
今月の小さなお菓子「黒糖くるみのブラウニ」にも、
シナモンをベースに他2種類のスパイスを加えています。
このお菓子は、私の好きなものを合わせた2月のスペシャリテです。
チョコレートとスパイスは、お互いの深みを引き立て合う相性の良いもの。
シナモンは、チョコ生地にスッキリとした爽やかさを加えてくれます。
クローブとナツメグは、甘味と香りを支える名黒子として、ひそかに。
チョコレートとくるみも、それぞれ異なるほろ苦さとコクが相まって、
とても相性が良いもの。
全体が馴染みやすいように生地はホロッと崩れる柔らかさに焼き、
黒糖くるみの濃厚な甘みとカリッとした食感を加えています。
プレゼントにも、分けっこしても、ひとりで楽しむ時にも、
飽きの来ない味わいを目指しました。
お好みに合いましたら幸いです。
▽黒糖くるみについて、くわしくはこちら▽
「黒糖くるみのこと」
https://sorasiro-plane.blogspot.com/2024/12/blog-post.html
※なお、製菓に使っているシナモンは、開店の頃からずっと、
優しい甘さと爽やかさ、柔らかな香りが特徴のセイロンシナモンです。
昔から使われているカシアシナモンのガツンと濃厚な甘い香りは、
濃いめのお料理や大量に作るお菓子には適している場合もありますが、
小麦粉やバターを一度に何十キロと使うことのない当店には、やや強く。
セイロンシナモンの穏やかな香りや優しい甘さが好きなこともあり、
手に入るようになってからは、ずっとこちらを使っています。
今週は週末にかけて、全国的に大寒波が到来するとの予報が出ています。
寒い日は、温かい珈琲や紅茶、ココア・牛乳・甘酒などにシナモンを少々(ひとふり~ふたふりくらい)入れると、体もいっそうポカポカと温まりますし、おいしくておすすめです。
もしよろしければ、お試しください。
(余談:私は温かい麦茶や烏龍茶、番茶に入れてもおいしいと思うのですが、賛否両論…)