縁起担ぎの豆餅ぜんざい

2023年2月5日

記録を確認したところ、黒豆入りの焼き餅ぜんざいをご用意するようになったのは、2017年の1月でした。

メニューに載るのは、松の内から立春頃まで。お餅は高山産の餅米を搗き、仕上げに炒って茹でた黒豆と蕎麦の実と少々の塩を加えて作っています。(豆餅なのは、おせちの黒豆同様「この一年マメに(元気に)過ごせますように」の験担ぎ。)

小豆は古事記にものる五穀のひとつ。赤には寿ぎと魔除けの意味もあるそうなので、「この一年、おいしい食べ物にたくさん出会えますように!」という希望と「良き一年になりますよう、禍が遠のきますように…☆」の願いものせて。

ある年の暮れに常連さんから、「意外と最近は食べられる機会も少なくなった…」と聞いたこともきっかけに、年のはじめに懐かしくも縁起の良い「甘味はじめ」を。と、お出しするようになりました。

そして数年。そろそろこのぜんざいもまた、お客さまから年明けの定番として楽しみにしていただける定番メニューとなってきました。


餡は、北海道産の大納言小豆を圧力鍋で柔らかく茹でてから渋切りしてトロ火で炊き、てんさい糖と黒糖と塩少々を加えて完成。

汁気多めで甘さ控えめの粒餡ぜんざいも、サラサラとした上品なこし餡のお汁粉もそれぞれに美味しいのですが、店主の好みにより昔ながらの甘めでぽってりとした粒餡仕立てです。

ご注文を受けてから、プワっと膨れて弾けるまでコンガリ焼いた豆餅を、熱々の餡に乗せてお出ししています。

火傷に注意しないと。と笑いながらお箸で熱々のお餅を楽しまれる方あり。しみわたります…と、木のお匙で浸しつつ、ゆっくり少しずつ楽しまれる方あり。十人十色のご様子に、今年もそれぞれに満喫していただけているようで良かった。と、嬉しく思う年始めでした。

そして年明けの影の定番として好評なのが、箸休めのたたきゴボウ。甘いぜんざいには、小梅や塩昆布など塩っぱい小皿も欠かせません。当店では、拍子切りにしたゴボウをさっと湯がき、醤油・酢・砂糖を3:3:2の割合で混ぜた調味液に熱い内に浸して一晩馴染ませ、翌朝水気を切ってから埋まるほどのすり胡麻と和えたものを添えています。

おせちの定番でもあるたたきゴボウ。シンプルな構成ですが、ゴボウの切り方や火の通し加減により食感も変わりますし、一味や山椒やマスタード、カレー粉やハーブなどを添えても楽しいです。店ではお正月のみのご提供ですが、季節を問わず常備菜としても美味しいものなので、お気に召しましたらお家でもぜひ、お好みに合わせてお楽しみください。

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