ショコラ・ショコラのこと

2023年2月15日

2月の喫茶室のケーキは、ショコラ・ショコラです。

生地とジャムのバランスは、ザッハ・トルテのレシピをもとに。コーティングは、ザッハの特徴であるシャリシャリ糖衣のチョコレートグラサージュ(砂糖とチョコレートを約1:1の割合で煮詰めて作る糖衣)ではなく、現代風の甘さ控えめのガナッシュで仕上げています。

(それゆえ、「ザッハ・トルテ」とは名乗らずに「ショコラ・ショコラ(チョコレートの二重奏)」という名でお出ししています。)

(※この記事は、現在店頭で配布中の月報44号と一部重複しています。) 

 ケーキの土台は、オランダ産とべルギー産の二種類のビターチョコレートをブレンドして、ふわふわに泡立てたメレンゲとたっぷりの卵黄とバターと共に焼き上げた、ホロホロ食感のショコラ生地です。

チョコレートは脂肪分が多いためメレンゲの泡を消しやすく、メレンゲの消えたチョコレート生地は目の詰まったボソッとした食感になりやすいため、この生地を作るときは普段以上に気を使います。

また、チョコレート入りの生地は通常のスポンジより比重が重めなので、型の側面に紙を巻くと膨らむ際に抵抗となり、綺麗に上がりません。極力抵抗を減らすため、当店ではバターを塗った上にグラニュ糖を薄く被せるスフレ形式で焼成しています。

重めの生地がゆっくりと上がっていき、しっとりと焼き上がると、ホッとします。(柔らかい内に刃物で触ると生地が潰れてしまうため、きちんと冷めるまではシフォンケーキのようにひっくり返して時間をおき、その後にスライスするのも密かなポイント…☆)(満遍なくきちんと火が入っていないと、ひっくり返した時にガボッと型から外れてしまうのもシフォン生地と同じ…配合はぜんぜん違うのですけれども…;-;)


無事に生地が完成したら、ほんのりラム酒をきかせた自家製の杏ジャムを間と表面にたっぷり塗り、しばらく乾かした後に、甘めのクーベルチュールチョコレートと生クリームで作った濃厚なガナッシュを重ねて完成です。

ガナッシュは触りすぎるとどんどん状態が荒れて艶も舌触りも悪くなりますし、下の杏ジャムがズレたり滲んだりして剥げやすくなってしまうので、極力一気に塗り広げます。

雪の降る日などは作業場所も零下なので、完全にタイムトライアル。ガナッシュをちょうどよい温度にしたら、あとは迷わず集中して「よし。思い切り!」と一気に流して仕上げます。気分はジャンプ台から飛ぶ船木選手(畏れ多い&例えが古い自覚はしつつ、三つ子の魂…>最初にこのケーキの原点を作ったのが、丁度あのオリンピックの頃だったのです…)。

ケーキの生地もガナッシュも、当店のものはチョコレート多めの配合なので、冷蔵庫に入れると固く締まってしまいます。喫茶室でお召し上がりの際には、常温の状態でご提供しています。(テイクアウトの際も、涼しい室温での保存&ご賞味をお願いしています。)


何も添えず、そのまま濃厚なチョコレートの味わいをお楽しみいただく場合は、ストレートの珈琲や濃いめに淹れた紅茶がオススメです。
(お家でお召し上がりの際には、お酒と合わせていただいても美味しいです。)

別添えの純生クリームと共にお召し上がりの場合には、ドリンクの方もカフェオレやホットミルク、カモミールミルクなど、柔らかい味わいのドリンクとも相性が良いようです。

小さなお菓子も含めた当店のおやつの中でも、一・二を争うほど濃厚な、重厚な味わいのケーキです。どうぞ少しずつゆっくりとお楽しみください。


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