チョコレートの小さなお菓子のこと

2023年2月12日

2月。バレンタイン。チョコレートの祭典が彼方此方で開催される、甘いもの好きとしては毎年わくわく嬉し困る、お菓子の一大イベント月です。

そして「お菓子をお届けする側」となってからは、チョコレートの人気(と難しさ)を改めて実感する季節でもあります。土曜日の喫茶室と道草通販でも今月はチョコレートのお菓子が色々登場しますが、今回はその中でもテイクアウト&通販用の「チョコレートの小さなお菓子」についてお話します。

(※下記は、現在店頭で配布中の月報44号と一部重複しています。) 

ひとつめは、ショコラ・ド・ナンシー。フランスロレーヌ地方の郷土菓子です。

(ロレーヌ地方は、美食大国フランスの中でも有数の、お菓子もお料理もお酒も本当に美味しいものがたくさんある田園地帯。私も人生の中でいつか訪れたい場所です。なお、このお菓子の名前にもなっている【ナンシー】は、ロレーヌ公国時代の首都名で、この名前のつくお菓子は他にも「マカロン・ド・ナンシー」という素朴なクッキー系のものもあります。こちらは目下レシピを試行錯誤中…。)

閑話休題。

このロレーヌ地方の郷土菓子には、アーモンドやヘイゼルナッツ等を使用したお菓子も多いのですが、この「ショコラ・ド・ナンシー」もまた、たっぷりのアーモンド粉と刻みヘイゼルナッツを使用した、しっとりリッチなケーキです。

当店では、内側に密かにベルギー産のルビーチョコを忍ばせた後、オランダ産のビターチョコレートでコーティングしています。

ルビーチョコの特徴的な綺麗なピンクは光にとても弱いので、色褪せさせないためにも、このような形となりました。(バレンタインなので、後に判るピンクもまた、素敵なのでは。という想いも密かに込めています。バレンタインのピンクはロマンスの具現…!>自分で言っては色々台無し…?)

甘酸っぱいルビーチョコとほろ苦いビターチョコ、しっとり生地に時々カリッと香ばしいヘイゼルナッツ。濃厚で贅沢な味わいのケーキです。

ふたつめは、杏とナッツのブラウニ。サクッと焼き上げられたイギリス風のバータイプも勿論美味しいのですが、今年はフランス風のレシピで、表面はさっくり、内側はミチっとした食感に仕立てています。(とても柔らかい生地なので、当店のお菓子では珍しく、紙の型に入っています。)

高めの温度で一気に焼き上げるため、一度プワっと膨らんで表面全体にヒビが入り、粗熱が取れる過程で少しずつ余分な蒸気が抜けて、落ち着いた形になります(ヒビは残ります)。今年は、洋酒と馴染ませた杏と、たっぷりのナッツ(アーモンド・カシューナッツ・ピスタチオ・ピーカンナッツ・くるみ)入りでのお届けです。

どこから食べても楽しい、おもちゃ箱のようなバランスになったのでは…。と思っています。(見た目はワシャっとへチャケているけれど、そういう所もまた、おもちゃ箱をひっくり返した様で楽しいなぁ。と思っているのですが…この点については、身内の中でも賛否両論でした。実はこのブラウニ、今回のラインナップ中で一番ドキドキしつつ、お届けしようと決めたお菓子です…。)

ブラウニは、イギリス版もフランス版もアメリカ版もそれぞれ星の数ほどレシピのあるお菓子。きっと、食べる人ごと・作る人ごとに「好きなブラウニ」がありそうな、身近なお菓子です。その一方で、いろんな飲み物と合う懐の深さがあり、飽きの来ない美味しさの焼き菓子だとも思います。(余談ですが、私がこのお菓子を「ブラウニー」ではなく「ブラウニ」と呼んでいるのは、最初に知った頃からの個人的な語感の馴染みによるもので、深い理由はありません…。)

何はともあれ。ブラウニは、チョコレートのお菓子の中でも最もポピュラーで、「共通の正解」のないもののひとつ。バレンタインに限らず食べたくなる、「チョコレートの焼き菓子」の代表選手のひとつなのでは。と、考えています。

みっつめは、クランベリーのケーキ。洋酒漬けのクランベリーとイタリア産のホワイトチョコレートを、ココナツ入りのバターケーキ生地にたっぷり加えて焼き上げています。

 ケーキの表面にも散らしたクランベリーは、洋酒と共に一度温めて柔らかくしてから焼き込んでいます。しっとりもっちり食感の生地の中でシャリシャリのココナツと甘酢っぱいクランベリーがアクセントになっている、フルーティなケーキです。

(なお、上のホワイトチョコの模様は、週によって変わります。)

個人的な感覚ですが、クランベリーやココナツの甘酸っぱさや爽やかさは、ホワイトチョコと相性が良いように思います。フルーツの爽やかさとホワイトチョコのミルキーな甘さを重ねると、両方を程よいバランスに組み合わせてくれるようで、このあたりは巷のレモンケーキにも感じます。

(余談ですが、当店のレモンケーキで最後まで薄掛けレモンアイシングと迷った糖衣も、レモンの果皮を削り入れたホワイトチョコでした。当店の甘めのレモンケーキ生地と重ねると、ホワイトチョコでは重すぎるな。と、レモンアイシング採用となりましたが…他所のお店のホワイトチョコ掛けレモンケーキは、私も大好きです♪)

お菓子のレシピも、チョコの種類やカカオ分もお国柄も様々の、今月の小さなお菓子たち。日進月歩のチョコレートの世界は、毎年この季節に最先端の新しい世界を見せてくれます。

二月はデパートでも、パティスリーでも、ショーウィンドウが華やかに賑わうバレンタイン月。広く深く濃いチョコ沼の世界。製菓の中でも有数の大カテゴリを前に、ささやかな形ではありますが、今年はチョコレートの世界の畔を散歩するようなイメージでご用意させていただきました。

なお、今月の道草通販は、2月12日(水)21時までオープン中☆
岐南町の喫茶室では、2月25日(土)まで販売予定です。

もしお好みに合いましたら、今年の本と道草からのバレンタイン、
お楽しみいただけましたら幸いです(^^)ゞ

  

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