イートン・メスのメレンゲのこと

2023年3月1日

快晴の日は、お客さまのご来店も平均的に控えめな当店。その分(?)、
少し珍しいおやつも「気まぐれメニュー」として登場します。

先週の喫茶室でお出ししていた「イートン・メス」も、そのひとつです。

当店のイートン・メスは、大きめサイズで2時間ほどかけて芯までサクサクに焼いたメレンゲ(※)を、ワシャワシャっと適度に割り、ふわふわに泡立てた純生クリームと甘酸っぱい苺と合わせてグラスに盛ってご提供しています。

(※今回のメレンゲはこのおやつ用に焼いたため、苺と相性の良い乾燥カモミールも加えて、ほんのり香り付けしています。)

美味しい時間が30分と保たないため店内限定メニューとなりますが、メレンゲとクリームとお好きなフルーツをご用意いただけましたら、お家でもとても気軽に作れるイギリス風のおやつです。

おかげさまで先週ご注文いただいたお客さま方には好評で、お会計の際にメレンゲをお求めくださり「家でも作ってみます」とお話ししてくださる方もありました。嬉しかったです。


気取らないお菓子だからでしょうか。イートンメスを作る時には、柔らく泡立てたメレンゲをオタマで天板にトントントンっと並べて大ぶりのまま芯までしっかり火を通した(カルメ焼きのような見目の)素朴なタイプのメレンゲが、とても合うように思います。

上の写真のように綺麗に絞り出し真っ白く乾燥焼きしたメレンゲも、口溶けよく見目も良く、静かに人気のある息の長いお菓子なのですが、組み合わせたい物によって同じ種類のお菓子の中でも相性が少しずつ変わってくる点もまた、興味深いところだなと感じます。
 

個人的には、生のフルーツなども一緒に合わせる時は、素朴なタイプが甘さと香ばしさと食感の鮮やかさのコントラストが楽しく相性も良いと思いますし、生クリームのみ(又は、ちょっと上等なアイスクリームやジャム)と合わせるならば、儚い口どけの白いタイプのメレンゲもまた繊細な美味しさで、とてもおすすめです。

 
絞り出しタイプの白いメレンゲは、実は、職人さんの腕の見せ所。
人気のパティスリーで販売されていることも多いので、ぜひお好きなお店のものでお試しいただきたいです。

メレンゲはシンプルゆえに、それぞれのお店の個性が分かりやすいお菓子。綺麗で、技入りで、卵自体の美味しさも肝要で、壊れやすい。…その一方で、甘さと口溶けのバランスがとてもよく、とても日持ちのするお菓子。甘い夢のよう、といわれることも多い洋菓子ですが、まさにそういう意味では洋菓子そのもののようなお菓子なのではと思います。

 

蛇足になりますが、素朴な茶色いドーンとしたメレンゲも、見た目はほぼカルメ焼きですが、より軽い食感でサラッとした後口の焼き菓子なので、私はこのタイプのメレンゲを砕いてアイスクリームにかけていただくのも大好きです。見栄えがしないためか、巷ではあまり見掛けない点のみ残念なところ…。ざっかけないお菓子、と申しましょうか。洋菓子の中の駄菓子ポジション、と申しましょうか…。


イートンメスは、その季節の美味しい果物とクリームとメレンゲを組み合わせ、見栄えを気にせずワシャっと混ぜて、美味しい内にサッといただく。その飾らない気軽さと素直な美味しさも含めて、とても愛おしく思うおやつです。

材料が揃ってあるときに、ひょっこり登場する裏メニューのようなおやつのひとつ。
もしタイミングが合いましたら、お楽しみいただけましたら幸いです。

(もちろん、お家でお好きなフルーツとメレンゲを組み合わせていただくのもオススメです。火を使わず作れるおやつですし、今後暑くなって来た時には、冷凍フルーツと合わせたりヨーグルトと合わせたりしても、スッキリサッパリしておいしいですよー!)

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