子どもの頃に最初に作ったお菓子は、型抜きクッキーでした。
ずいぶん昔の記憶になりますが、おそらく小学校に上がる前のこと。
大人が作ってのばしてくれた生地を、小鳥の抜型で抜いたものでした。
当時好きだった「ノンタン」の絵本にクッキーを作るおはなしがあり、
それがとても楽しそうで、憧れてのことだったように思います。
小学生になり自分で生地から作らせてもらえるようになってからも、
型抜きクッキーは私にとって、どこか特別なお菓子でした。
本日は、当店の型抜きクッキーの中で一番のロングセラーとなっている、
「米粉入りクッキー」についての思い出話(主に材料について)です。
熊本県産と新潟県産、2種類の米粉を使用しています。
このクッキーを作り始めた切っ掛けは、2010年頃のこと。
辻口博啓シェフが群馬製粉さんと開発された製菓用米粉
「リ・ファリーヌ」が地元でも手に入るようになり、
「上新粉(米粉を原料とする和菓子材料)とどう違うんだろう…」と、試作を始めました。
今では米粉を使用した洋菓子もごく身近なものになりましたが、
当時は米粉スイーツも――素材となる米粉の種類自体も、今ほど多くはなく。
「米粉を洋菓子作りにも使える」という発想はコロンブスの卵のようで、とてもわくわくしたものでした。
初めて作った米粉100%のクッキーは、小麦粉で作るクッキーより
パリッとした食感で、お煎餅のような親しみのある味わいでした。
ポリポリとした食感も楽しく香ばしく、とてもおいしかったのですが、個人的なクッキーの好みとして、米粉の甘味と香ばしさに加えて小麦の香りとホロっとした食感も欲しくなり…米粉と小麦粉両方を組み合わせた自分好みの配合を求めて、試行錯誤を重ねました。
そうして配合が決まった後で、ひょんなことから喫茶室を始めることになり。
数少ない「お客さまにお金をいただける、ちゃんとご用意できるもの」のひとつとして、飲みもののお供に添えるようになりました。
数少ない「お客さまにお金をいただける、ちゃんとご用意できるもの」のひとつとして、飲みもののお供に添えるようになりました。
おかげさまで気に入ってくださり、楽しんでくださるお客さまにも恵まれて。
最初に店頭で珈琲皿の上に登場して以来、早いもので十年を越え、当店では五本の指に入る最古参のお菓子となりました。
最初に店頭で珈琲皿の上に登場して以来、早いもので十年を越え、当店では五本の指に入る最古参のお菓子となりました。
これからも季節を問わず楽しんでいただけるよう、大切に作り続けていきたいお菓子のひとつです。
もしお好みに合いましたら、お楽しみいただけましたら幸いです。