二度焼きするお菓子の話

2025年3月10日

先日の喫茶室の営業日のことです。
ちょうど偶然ご来店の重なられたお客さまお二人が、
店頭で「これ、おいしいですよね…!」と意気投合されていて、
以前お求めいただいた時の感想を楽しそうにお話ししてくださり、
とても嬉しかったお菓子がありました。

そのお菓子の名前は、ビスコッティ。
オリジナルは現地でBiscotti di Pratoと呼ばれているお菓子で(※)
イタリア中部トスカーナ州の郷土菓子として有名です。
(※Pratoは、トスカーナ北西部の都市名です。)
 

名前の由来はこのお菓子の作り方にあり、
ラテン語の「ビス(Bis:2度)、コッティ(cotti:焼いた)」を語源とする説と、

「ビ(Bi:2度)、スコッティ(scotti:よく焼いた)」と解釈する説がありますが、

いずれにせよその名のとおり、
①まず、生地全部を丸ごとドーンとナマコ型に整形して焼き、
②次に、スライスしたものを切り口を上に向けて天板に並べて焼きます。

(※熱い内に切り分けるため写真がなく、手描きのイメージ図にてご想像ください…;)

一本の外周の半分が真っ直ぐで半分が少しデコボコした弧を描いている独特の形や、
縁が濃い茶色で中心が少し薄い色なのは、こうした作り方によるものです。



当店では開店翌年の2014年から様々な組み合わせでご用意しており、
おかげさまで店頭でも通販でもリピーターさんに恵まれている、
人気の焼き菓子です。

しっかり固く焼き締めた食感は、カリカリポリポリ、音がするほど。
 
本場トスカーナでは、この音を「小さな歌(Cantocci)」に見立て、
「カントゥッチ(Cantucci)」と呼ぶこともあるそうです。
(※バターが入らない原点に近いレシピのものを特にカントゥッチと呼ぶ。とする説もあります。)
 
そして、イタリアといえば、数々のナッツの名産地。
生地にもたっぷりのアーモンド粉を使用していますし、
具材として多様なナッツを混ぜ込んだレシピも多いです。
(アーモンド、ピスタチオ、ヘイゼルナッツ、くるみ等々…☆)
また、現地では甘いワインと一緒に楽しむことも一般的らしく、
ワインと相性の良いドライフルーツを入れたレシピもよく見かけます。

チーズとナッツや黒コショウをきかせた塩気強めの組み合わせも、
お酒のアテにはもちろんのこと、軽食やおやつにもおいしいです。

珈琲も愛されているお国柄ゆえか、
珈琲と相性の良いチョコレートを使用したビスコッティも色々ありますし、
固いビスコッティを珈琲に浸して柔らかくしていただいても、食感が変わって楽しいです。


これからも色々な組み合わせでお届けしていきたい、
素朴な見ためでありつつ複雑で、懐深く面白く、飽きの来ない固いお菓子。
色々な楽しみ方のできる、素敵で楽しいお菓子です。
 
もしお好みに合いましたら、ぜひどうぞ。

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